都会のノイズから離れ、湖畔で『あの感覚』を取り戻す。
職場や家庭の人間関係、仕事のプレッシャーなどさまざまなストレスが社会問題化している日本は「高ストレス社会」といわれる。
その反動なのか、森林セラピーやアロマテラピーが注目を集めているようです。
私はもともと人混みが苦手で、仕事の合間を見ては公園など自然を感じられる場所へ出掛けていた。
そして食べることが大好きで料理人になって27年目。「自然栽培」で育てられた野菜の美味しさに感動して農業の世界へ転身することに。
転職を決意して移住したのは、人里から少し離れた自然豊かな湖のある地域。オーガニックの野菜を育てながら、常に自然に触れている感覚がとても心地よいです。
ここでの生活を始めて7年が経ち、あらためて自分は自然豊かな環境が好きなんだと実感しています。
朝の湖畔を散歩しながら、目を閉じて風を感じながら鳥たちの声を聞くと、都会での生活で感じていたノイズが消えていくのがよくわかる。
集中力と感性が高まるのがわかる
「脳がスッキリして、体と精神が健康になるみたいだ」というふうに知人に話すと、「自然の中は気持ちいいよね」と、あいまいな答えが返ってくる。
自然豊かな場所が「気持ちいい」という感覚は、誰もが抱いているが、あくまで体感的なものだという枠を超えることはない。
でも近年、その効能が科学的に証明されるようになってきた。
「フィトンチッド」と呼ばれる、樹々が発する成分が、体に影響を与えているというものです。
樹木から採ったアロマオイルにも含まれるこの物質は、リラックス効果があるだけでなく、集中力をも高めるという。
さらには、抵抗力と免疫力を向上させ、血圧の安定に寄与することも確認されている。
このフィトンチッドの例から、もしかしたらエビデンス以上に〝感じる能力〟や〝感性〟を、もっと信じてもいいと伝えてくれているのではないだろうか。
「大切なことはね、目に見えないんだよ」って何かで聞いた覚えがある。
現代に生きる私たちは、理論や科学の裏付けがないものは〝存在しないもの〟として処理してしまいがちだが、それでいいのだろうか?
「気持ちいい」「癒やされる」「感動する」といった、胸の奥から湧いてくるような〝感覚〟こそ、人間にとってとても大切なことなのだと信じて、わたしは生きていきたい。