【基本編】作物の生育に必須。根の発達と土壌環境を考える
作物の生育をよくするには、根が発達しやすい土壌環境にしていくことがとても重要になってきます。そのために必要になってくるモノは何か?
今回は、「根」の働きと役割について考察していきます。
植物の「根」とは何か
植物の根は、土壌のなかにある「水」と「無機栄養素」を吸収して、それらを地上の部分へと送るための器官です。根の表面には根毛があります。
これは根の表皮細胞が分化したもので、これによって根の表面積が広がっていきます。こうして根が成長していくと根の表面積がどんどん広がっていき、たくさんの水や無機栄養素を吸収しやすくなるわけです。
(無機栄養素とは)
植物生理学の言葉で、植物が生長するために必要になる必須栄養素があると言われる。このうち、CとOとHを除いたものを無機栄養素 [英: mineral nutrition] という。
Wikipedia:栄養素(植物)より
肥料成分でよく知られる、NとPとKの3栄養素がこれになります。
根は呼吸している
根が生育に必要な栄養素や水分を吸収するためには酸素が必要になってきます。植物の根は酸素を利用して呼吸することによって、養水分の吸収や窒素化合物の合成をしている。
そのほかにサイトカイニンなどの生育調整物質を合成する働きもあります。
※サイトカイニン・・・植物ホルモンの1種で主に根で合成され、導管を通って地上部へ運ばれる。細胞分裂の促進などの働きがある。
土壌に酸素があることにより、植物が呼吸して生育に必要な活動ができるということですね。
分泌物による効果
植物が呼吸をしながら根から養分・水分を吸収して、無機態窒素からアミノ酸を合成したり、成長ホルモンを合成したあと、根から分泌をしています。
この分泌物は、根酸や糖・アミノ酸などです。これらの分泌物は、土壌の中の微生物たちの餌となって根の周りの生態系にとても大きな影響を与えています。
根酸を分泌することで、土壌の中のリン酸の吸収をよくしたり、糖やアミノ酸を分泌することで、土壌微生物が集まってきて根圏の周りの環境を豊かにしてくれます。
土壌中のリン酸や石灰は、根の先端の若い細胞によって吸収されることが多く、これらの養分を効率よく吸収するためにも、根の発達は重要と言えるでしょう。
根の健康が生育を決める
このように、根には植物が生育するためにとても重要な役割のある器官であることがわかりました。そして、その生育には土壌の環境がとてもポイントになってくる。
植物の健康的な生育のためにも、土壌環境の保全と根の役割をしっかりと知ることが大切ですね。