「チョコレート」の魅力と基礎知識

みんな大好きチョコレート。もっとも手軽で、日頃から愛されているスイーツといえば「チョコレート」ではないでしょうか。今回はバレンタインの主役でもあるチョコレートの原料「カカオ」に焦点を当ててみたいと思います。

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  チョコレートの原材料は「カカオ」の種子

チョコレートの原材料は「カカオ」という植物の種子からできます。

  • アオイ科カカオ属
  • 中南米原産
  • 常緑樹
  • 陰性植物(陰樹)
  • 高温多湿を好む
  • 栽培適温:平均27℃で気温差が少ない
  • 栽培適地:北南緯20°・熱帯雨林
  • 標高300M以下で年間降雨量が1000ミリ

世界のカカオ生産は、1位がコートジボワール・2位ガーナ・3位インドネシアとなっています。

日本が輸入しているカカオはガーナからが一番多い。輸入しているカカオ豆は 33,022 千トンで、輸入量の 76.5%がガーナ産となっています。

参考:カカオの持続可能性に関する調査(農林水産省)

また、カカオノキは陰性植物の陰樹と呼ばれ、成長するのに光をあまり必要としない特徴がある。大きな木の陰で育ち湿潤な環境を好む傾向がある植物です。

ミルクチョコレートと相性の良い品種

日本におけるカカオ輸入の約8割がガーナ産ですが、その特徴を見てみましょう。

日本人の舌にもっともなじみが深いのがガーナ産のカカオ豆です。
ガーナではフォラステロと呼ばれる品種のカカオを育てています。フォラステロ種は病気や害虫に強く、収穫量も安定しています。また、風味が安定しているので、チョコレートにした時の味のバランスが良いことが特徴です。

お口の恋人LOTTE カカオのお話より

ガーナチョコレートでもお馴染み「LOTTE」でも紹介されていますが、フォラステロという品種が世界のカカオ生産で一番多い。世界のカカオ生産の約90%を占めています。苦味が強くマイルドな香りが、ミルクチョコレートの生産に相性が良く、病害虫に強いのが大きな理由ですね。

そのほか、世界では現在3品種が栽培されていて、病害虫に弱いため栽培が少なく幻のカカオと呼ばれるマイルドな味わいの”クリオロ種”。そして、フルーティな酸味を持ちフレーバービーンズと呼ばれる”トリニタリオ種”があります。

チョコレートができるまで5段階

カカオノキから私たちが食べているチョコレートができるまでを考えてみましょう。

カカオノキは苗から育てて約4年で”カカオポッド”という実がなります。その実から種子を取り出すところから見ていこう。

  1. 収穫してから発酵させる: 幹や枝になるカカオポッドを、ナタなどの道具で切り落とし、収穫。それを木の棒で叩いて割り、中からパルプごと豆を取り出します。豆とパルプは数日のあいだ置いて発酵させます。この時、天然の微生物の働きによる発酵がおいしいチョコレートのために重要な工程になる。これによってカカオ豆はチョコレート色に変化し、後の工程(ロースト)でチョコレートの香味となる前駆体が生成されます。
  2. 乾燥させて出荷する: 発酵後のカカオ豆は約40%以上の水分を含むので、貯蔵や輸送中にカビが発生しないよう水分が7~8%になるまで乾燥させます。品質検査のあと麻袋に入れて、チョコレートの製造国へ輸出されます
  3. カカオマスにする: 生産国から運ばれたカカオ豆は、悪い豆や石、ゴミなど異物を取り除いて良い豆を選別します。100~140℃の熱を加えてローストし、カカオ豆の風味を引き出します。カカオ豆をそのままローストする豆ロースト法と、豆を粗く砕いてシェル(種皮)等を取り除いたカカオニブをローストするニブロースト法があり、産地や豆の特徴により温度や時間を調整します。その後、豆(またはカカオニブ)を機械で細かくすり潰し、カカオマスというペースト状にします。
  4. カカオマスからチョコレート生地へ: ペーストのカカオマスに砂糖、ココアバター、ミルク(粉乳)などを配合し、粉砕していきます。チョコレートの粒子を細かくすることで、滑らかな舌触りになる。この後、練る工程を行っていく。
  5. チョコレート完成: できあがったチョコレート生地は、テンパリング(温度調整)をしてから型に流して冷やし固めます。この温度調整が非常に重要で、ココアバターを安定した結晶にすることで、艶があり口どけの良いチョコレートに仕上がります。

以上がカカオ収穫からチョコレートができるまでです。カカオノキから実が収穫できるまで約4年かかるんですね。木の実を栽培するのは本当に苦労が必要です。

カカオの健康効果とは

チョコレートの健康効果についても考えてみましょう。原材料のカカオには様々な栄養素が含まれている。なかでも有名なのはカカオポリフェノール。

チョコレートの色や・苦味・渋み野本となるものです。カカオが光合成を行う際に自らを守るためにつくり出す成分で、ヒトの体内に入ると抗酸化物質として作用することがわかっています。

期待できる作用として、「ストレス軽減」「動脈硬化の対策」「抗酸化作用」などがあり、カカオに含まれるリグニンという食物繊維が豊富なのも魅力の1つと言えるでしょう。

しかし、チョコレートには砂糖などの糖分が多いということもお忘れなく。

魅力的な神の食べ物チョコレート

  今回はチョコレートのついて考えてみました。

カカオの学名の Theobroma はギリシャ語で「(theos)の食べ物(broma)」を意味すると言われています。

普段何気なく食べているチョコレート。でも日本では栽培が難しく、熱帯地方の生産者のおかげでスイーツを楽しめていることを認識できました。

なによりチョコレートはカカオという植物、つまり生命の恵みであること。

おいしさの原点は、やはり豊かな自然が大事である。そう思えるチョコレートの考察でした。

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