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【基本編】なぜ野菜は育つのか②〜目には見えない微生物のステキな世界

※この記事は音声で聴くことができます。

野菜や植物が生長するのには理由がある。普段は何気なく見ている野菜も、その育つ過程を調べてみるととても面白いことがわかります。

植物が成長する原理原則を知ることは生産者はもちろん、料理をする人も食べる人も知っておくことが重要だと考えています。

前回の「光合成」に続いて、今回も野菜の成長する仕組みの基本を考察していきましょう。

「光合成」についてのおさらい

まずは前回の復習です。

光合成とは、葉緑体を持った植物が光のエネルギー化学エネルギーに変えて生長に必要な栄養素を作ることでしたね。そこから植物は水と二酸化炭素を化学反応させて糖(ブドウ糖)を生成します。

そして糖をもとにしてデンプン(炭水化物)を作り出す。その後、デンプンを原材料としてタンパク質を生成している。タンパク質は植物の成長に欠かせない成長ホルモンも含まれている。つまり植物の体を作る大切な要素になっているんです。

大雑把ではありますが、これが光合成による植物への関わりといった感じになります。

野菜が育つのに必要な微生物という生き物

光合成は野菜が生長するのに欠かせないものですが、これだけでは成長することが難しい。

そこで重要になってくるのが微生物という生き物の存在です。

微生物とは簡単にいうと「人の肉眼では見ることの出来ない小さな生き物」のことです。その種類や生存数はとても多く、何兆個とも言われています。そして地球上のあらゆる所に生息していて、人の生きていけないような極限環境でも生息していると言われています。

そんな微生物は土の中にも生息していて、この生き物の働きによって植物が成長する大きな理由の1つになっているんです。

このような微生物のことを共生菌と呼んでいます。

その微生物は何をしているのか?

植物の周りに棲んでいる共生菌は基本的に土壌の中に生息している。その理由はシンプルで、そこにエサがあるからです。ここで疑問になるのが、そのエサはどこから出てきているのか?ということです。普通に考えるとエサは食べたらなくなりますよね?ということは誰かがエサを作り出しているのか、それとも運んできているのか。

その答えが植物の光合成にありました。

野菜や植物は光合成を行なって糖を作り出した後、吸収しきれなかった一部を、自分の根っこから排出しているんです。それは植物の維管束と呼ばれる器官から根っこに運ばれて、根の先から放出されている。

この排出された糖が微生物の餌になっているんですね。

なぜ共生菌と言われているのか

しかし、これでは植物は微生物のためにエサを与えるだけの存在です。このままでは植物に何のメリットもないですよね。でも何故かエサをもらっている微生物は共生菌と呼ばれています。

ここで気になるのは、光合成で排出しているのは糖だけなのかという疑問です。そして調べるうちに植物はとうと一緒にあるものを排出していることが判明しました。

それは、有機酸と呼ばれるものです。

有機酸はクエン酸などの糖と横にた化学構造をしたものです。この有機酸を糖と一緒に配所つすることによって、土壌の中のミネラルを溶かしていると言われている。

ミネラルとはカリウム・カルシウム・リン・マグネシウム・亜鉛など必須元素と呼ばれる重要な栄養源になるものです。

これらの元素は、土壌の中に存在するものが多いのですが、そのままでは植物が吸収できないものがあります。そこで植物は根っこから有機酸を排出して、土壌のミネラルを吸収できるものに変える。

そこへ微生物がやってきて、そのミネラルを植物の根っこに運んでいきます。そうしてその引き換えに、植物の根っこにあった糖をエサとしてもらっているんです。

これはまさしく、ギブ&テイク!

共生関係の真の姿ですね。

生き物たちの循環する世界

今回は微生物と植物(野菜)の関係を学んできました。

光合成によって作り出したものを、自分の成長のために使う一方で、それを放出して微生物の餌として与える。そしてそのに生物がエサをもらう代わりに、植物の欲しいミネラルを運んでいく。

この一連の生き物の循環は本当に素晴らしいと感じるとともに、とても面白くて興味深いです。

肉眼ではその活動を見ることはできないですが、植物や野菜の成長する姿を観察しながら発見できることは多いのではないか。

そう思える生命の循環と自然界の原理を学びました。

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