魅力のフォカッチャ、素材へのこだわりと新発見
ホテルのベーカリー&スイーツと聞くと、なんとなく高級なイメージがある。普段食べているものより高価帯なので、より一層と高級感があるのかもしれない。でも価格以上の価値を発見できるのもホテル料理の魅力ではないでしょうか。
そんなホテルのベーカリーからこの冬、新メニューが誕生した。今日はそのニュース記事をもとに、ホテルベーカリーの新たな魅力を考察したいと思います。
参照記事:東京産ビーツで赤いフォカッチャ パレスホテル東京(日本経済新聞)
※パレスホテル東京の情報はこちらです。
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フォカッチャの魅力と歴史
今回は「パレスホテル東京」のスイーツ&デリから発売されている”フォカッチャ”を取り上げていきます。
フォカッチャとは、強力粉・水・塩・イースト・オリーブオイル等を原料として、生地を伸ばし指などで数箇所の凹みをつけた後に石窯やオーブンで焼き上げる。オリーブオイルやハーブで味をつけ、そのまま食べたり肉・野菜・チーズと一緒に食べたりします。
イタリア(ジェノヴァ)が発祥と言われ、古代ローマ時代から作られていたと考えられる。現在のピザの原型でもある歴史あ料理です。また地域によっては、お祝い事の時に父親が調理して提供することもあります。
生地がシンプルなので、好みの食材と組み合わせる事ができる。その上で、ハーブやオリーブオイルを使用しているので、爽やかさ・食感が味わえるのもフォカッチャの魅力だと思います。
イタリア野菜の基礎知識
ここ注目したいのは、「ビーツ」「ケール」を使用している事。これらの野菜がどういう食材なのか。まずは野菜の基本的なところを見てみましょう。
- ビーツ(テーブルビート)
- ヒユ科フダンソウ属
- 2年生(多年生)
- ヨーロッパ・地中海沿岸原産
- 発芽適温:25℃前後
- 栽培適温:15℃〜20℃
- 色素:ペタシアニン
- ケール
- アブラナ科アブラナ属
- 1年生(2年・多年生)
- 地中海沿岸原産
- 発芽適温:25℃
- 生育適温:15℃〜20℃
- 寒さに強く、冷涼気候を好む
ビーツ(テーブルビート)はビートの一品種で様々な種類がある。日本ではサトウダイコン(テンサイ)が有名です。また、ロシア料理で有名なボルシチは東ヨーロッパでよく調理されていたスープが伝わったという説がある。本場ヨーロッパではサラダや漬物でも料理されています。
一方、ケールはキャベツの原種(ヤセイカンラン)に近い品種で不結球キャベツの代表的な野菜です。ケールにも様々な品種があり、トスカーナケールと呼ばれるものは、日本でよく見かけるカーヴォロネロ(別名・黒キャベツ)が有名ですね。
あと、健康食品で有名な「青汁」にも多数のメーカーで使用されています。
ストーリーある新作と情熱
このフォカッチャはどのように誕生したのか。パレスホテル東京のベーカリーシェフのコメントを紹介します。
その野菜を口にして、濃厚なうまみに驚嘆し、すっかりほれ込んでしまいます。彼らが言うには「ビーツとケールはまだ、パンに使ってくれる人がいないんですよね」。よし、じゃあ僕が使ってみよう
東京産ビーツで赤いフォカッチャ パレスホテル東京(日本経済新聞)より
シェフの言葉からは、素材への気持ちとリスペクトが伝わってきます。料理人には必須条件とも言える”食材に向き合う姿勢”が魅力的です。
また、粉・砂糖・塩も国産にこだわり、本来オリーブオイルを使用するところを国産の米油に変えるなどの創意工夫にも感心しました。
伝統から創作への熱意
今回はフォカッチャについて考えてみました。普段あまり食べることのない料理フォカッチャ。イタリアでは定番なパンだったということも、調べて思い出す事ができました。
そして、パンの生地にイタリア野菜である「ビーツ」と「ケール」を練り込んで使用するというアイデア。そこにかけるシェフの想いなど、とても勉強になります。
私自身、野菜を栽培していて「なんで今まで気づかなかったのか?」と少し反省しています。もっと野菜に対して深く学ばなければいけないな、と感じます。
野菜は料理する人がいて、食べる人がいる。その人たちに満足し喜んでもらう事が、野菜生産をする中で一番の喜びの瞬間であると思えるから。