【七草粥】春の七草に共通する特徴を考えてみる
春になると、新しい生命が芽吹き、自然は活気に満ち溢れます。といっても、北海道は雪も降りまだまだ真冬シーズンですが・・・。
一般的に「春の七草」はこの季節の訪れを告げ、健康への良い影響が期待されています。特に「七草粥」は、日本の伝統的な食事として知られ、身体に良い影響を与えるとされています。今回は、「七草粥」の成分と春の七草が健康に良い理由について探ってみましょう。
※この記事は音声でもお楽しみいただけます
七草粥の始まりと栄養
春の七草は、日本の伝統的な行事である「七草がゆ」で使用される7つの植物です。
七草粥を食べるようになったのは奈良時代からという説が有力ですね。当時の中国(唐)が陰陽五行説をもとに行なっていた風習が日本に広まっていった感じです。
詳しくはwikipedia:七草粥を参照してください。
ではそれぞれの食材(草)の栄養的な特徴を見てみましょう。
セリ:ビタミンAやCが豊富で、抗酸化作用があります。
ナズナ:ミネラルや食物繊維が豊富で、デトックス効果が期待されます。
ゴギョウ:ビタミンB2やカルシウムが豊富で、美肌効果があります。
ハコベラ:抗酸化作用があり、消化を助ける働きがあります。
ホトケノザ:鉄分や食物繊維が豊富で、貧血予防に効果的です。
スズナ:食物繊維が豊富で、腸の働きをサポートします。
スズシロ:カルシウムやビタミンKが豊富で、骨の健康をサポートします。
それぞれ独自の特徴があり、バランスが良さそうな組み合わせですね。デトックスや免疫力を高めたい時に役立ちそうです。
では次に七草の植物としての特徴を考えてみましょう。
今が旬と言われる七草の生命力
栄養学的に健康に良い理由は分かりましたが、なぜそのような栄養素を持った草がこの季節に育っているのでしょうか。
その秘密は七草の植物としての特徴がカギになります。
七草の植物的な特徴を考察してみましょう。
- セリ : セリ科・多年生
- ナズナ: アブラナ科・越年草
- ゴギョウ:キク科・越年草
- ハコベラ:ナデシコ科・越年草
- ホトケノザ:キク科・越年草
- スズナ:アブラナ科・越年草
- スズシロ:アブラナ科・越年草
このように七草は全て、越冬できる性質を持つ植物だということがわかりました。
多年生の植物は数年にわたって、適した季節になると成長する特徴がある。そして越年草は、基本的に秋に発芽して冬を過ごした後に花を咲かせる植物です。そして、これら七草のいずれも生育適温が低めな植物。つまり、この季節に本領を発揮する生き物なのです。
これは身近な野菜に例えるとわかりやすいと思います。大根・かぶはアブラナ科、人参はセリ科、春に咲くタンポポやハコベはキク科とナデシコ科です。ちなみに、スズナはカブの古い呼び名で、スズシロはダイコンの古い名前です。
日本の寒い冬でも元気に成長できる性質を持った草たちが、葉物野菜の少ないこの季節に重宝されたんですね。そして春に花を咲かせるために、成長している若い時期の草たちが栄養満点の源なんだと感じました。
美味しい食材は基本的に、若くて成長期にあるものがほとんどですから。
春の七草で季節感を取り戻す
私は北国育ちなので、冬は辺り一面の銀世界。もちろん草などはすべて雪の下です。なので正直「七草粥」食べる習慣など(我が家では)ありませんでした。
その後、料理人になり始めて七草粥という存在を知ります。
「そうか、日本には冬でも雪が降らない地域もあるんだよなぁ」とつくづく日本が南北に長い地形だったことを思い出していました。
本来、冬の寒い季節は緑野菜の流通が少ない時期です。施設栽培などが発達して、季節かまわず野菜が流通して食卓に並べられている現代。
野菜という植物の特徴を知ることはとても大切なんだと思いました。
栄養がたっぷり詰まっている野菜には生命力がある。それは野菜自身が自分の特徴を知っていて、環境に合わせて生きていこうとしている証でもある。
そう感じる学びのひとときでした。