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【美味しんぼ①】究極対至高・鍋対決〜鍋料理の本質は「熱」と「新鮮さ」である

寒い季節には温かい料理が食べたくなる。冬の代表的な食べ物といえば、やはり「鍋料理」ではないでしょうか。

そんな鍋料理の魅力を漫画「美味しんぼ」から考察していきたいと思います。

参考文献:美味しんぼア・ラ・カルト15(小学館)

※この記事は音声でもお楽しみいただけます。

重要なキーワードは「距離感」

美味しんぼの登場人物である海原雄山氏は、「本質を追求してこそ、究極・至高の鍋料理と言える」と言っています。

美味しんぼアラカルト15より

このエピソードは、「究極対至高 鍋対決」における一コマです。この対決で、究極の鍋を披露した主人公の山岡さんが、鍋料理の本質を捉えていないと海原雄山に完膚なきまでに敗北させられた物語になっています。

その中でポイントになっていたのが「おもてなし」をどう提供するかということでした。

このエピソード中に出てくる鍋料理は高価なものが多く、なかなか家庭では食べられない食材が多いと思います。しかし鍋料理というものの本質は見事に描かれた作品だと、私は感じています。

鍋料理の最大のメリットとは

まず鍋料理の基本であり最大の本質を考えてみましょう。

気になるポイントとして海原雄山のセリフ「鍋は食卓で調理するところに最大の意味がある」と発言した場面です。

海原雄山が語っているように、鍋料理は食卓で加熱して調理するもの。それとほぼ同時に、出来立てアツアツを食べることができるのが最大のメリットです。

これはつまり、料理人と食べる人との境界線がないということになる。目の前にいる人との関係性がとても近いんですね。そこで大切になってくるのが「相手をどう思うか」ということでしょう。

目の前の人におもてなしをする。その反応が目の前で感じることができるのは、鍋料理の本質であるのではないでしょうか。

「新鮮さ」に隠された2つの意味

そしてもう一つのポイントは、「新鮮さ」にあるとされています。これは雄山氏が季節の旬である新鮮な食材を厳選し、それを鍋の中で最大限に引き立てていることから理解できる。

さらに、その新鮮さはとは単なる食材のことだけでなく、新しい食べ方のアイディアや発見が鍋料理を通して想像できるからです。そう思えるのは海原雄山のモデルになった人物の北大路魯山人の書物を読み確信しました。

最初から最後まで、献立から煮て食べるところまで、ことごとく自分で工夫し、加減をしてやるのであるから、何もかもが生きているというわけである。

春夏秋冬 料理王国(北大路魯山人)

この言葉には一層深い意味が隠れています。「新鮮さ」には単なる食材の新しさだけでなく、料理の中での新たな発見や感動も含まれていると理解できます。

基本的な好みの出汁さえ決めてしまえば、あとは何をどう調理するかは自由という鍋料理。非常に感覚的な料理であるため、新たな味覚体験をもたらす源であり、食べる人の好奇心も刺激するのです。

これはまさに、鍋料理が単なる食事ではなく、究極の体験となる理由なのかもしれません。

寒い季節だからこそ

今回は漫画「美味しんぼ」を参考にして鍋料理の本質について考察してみました。鍋料理が単なる食事ではなく、究極・至高の芸術としての領域に達するためのものであることを描いたエピソードでしたが、その本質は高級食材や高価なものだから良いというわけではなく、大切なのは「おもてなし」だということ。

美味しんぼの世界において、海原雄山氏の言葉は食べる人の心をどのように動かすのかという、美的なものではないかと感じられます。

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