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【カレーライスとコーヒー】作る人の見える喜び

忙しい日が続くとついつい晩御飯を食べずに寝てしまう日がある。そんな時は必ず早朝にお腹が空いて目が覚めてしまう。

「あぁ、やっぱりちゃんと食べてから寝ればよかった」

後悔しても始まらない。とにかくお腹がグーグーと鳴り続けているのだから、なんとかしなければ。

健康意識よりも優先すること

寝起きに食事をとるのは健康的には良くないとされている。でも、こんな状態で我慢しながら長時間のハードな農作業をこなせるとは思えないし身体に力も入らない。

家の狭いキッチンには、洗って浸水してあるお米とにんじん・玉ねぎ・じゃがいもがまな板の上に置きっぱなしだった。

「カレーライスだったか」

忙しい時期にはとても重宝するメニュー「カレーライス」。一度調理してしまえば3日はご飯支度をしなくて済む最強の料理。それを作ろうとして途中で眠ってしまったんだと寝ぼけながら思い出した。

あとは鍋に入れて煮込むだけ。とにかく料理しよう。

いつもなら寝起きは1時間くらいボーッとしてから動き始めるのだけど、ほぼ無意識のような感覚で調理し始める。食欲おそるべし。

鍋にキャノーラ油をひいて玉ねぎとニンジンを炒める。木べらでかき混ぜながらその野菜たちを見ていたら、今年の春の記憶がよみがえる。

オーガニックの玉ねぎ

まだ雪の残る3月の下旬。外の雪かきを時々しながらビニールハウスを片付け、今年の生産する玉ねぎの種を蒔く。この季節の生産業務は、温度管理と水やりがとてもシビアです。春の玉ねぎたちの種を巻きながら、オーガニック野菜の大変さをいつも痛感していた。

農業の世界では「育苗7割」なんて言われるほど、苗の生育がその後の成長に関わってくるとされている。今年こそはもっと美味しい玉ねぎに育ってほしい!と願いながらハウスの中で小さな玉ねぎの苗を見ていた。そんなことをカレーを作りながら思い出す。

そんな思い出に浸りながらカレーを調理していると、なんだか心地よい。時間の流れがゆっくりで、頭の中に余計なノイズがないような感覚になる。

これは巷でよく聞く「マインドフルネス」か?「瞑想」のようなものなのかもしれない。

料理をしながら素材の成長を思い出す。その野菜のストーリーをイメージしながら、ただただ目の前のことに集中する。その感覚はとても心地よいものだった。

そんな心地よい感覚に染まりながら、コーヒーの焙煎職人さんが手間暇かけて仕込んでくれた豆でモーニングコーヒーを淹れる。

作る人が見えていると、その味わいも格別なものになる。

食の豊かさは、こういうものでしょう?

そんな、ひとときでした。

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